しまうまのおたく blog

ヤングキング連載 小幡文生 著 漫画シマウマ の感想を書きます。ネタバレあります。

シマウマ感想 No.4 [chapter—04 ドラ———]

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[chapter—04 ドラ———]

シマウマ2巻から3巻あたりのネタバレありの細かすぎる感想。

 


ドラの初めての回収。
ドラってば最初っからノリノリで仕事に取り組んでいますね。
しかし何やらシマウマに張り合っている様子。

 

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シマウマ2巻128ページより


掛川にシマウマと比べられる事を言われイラッとして煙草をへし折ってしまう。

ドラは “シマウマと比べられる” 事が地雷ですね。

アカの言った「男は殴って女は犯す…普通じゃぁぁんつまんな〜〜い!」って言葉を気にしていて“つまんない“って思われたくない気持ちがあります。価値観の基準に少なからずアカからの評価があってそれが気になっているようです。

 

 

ネットカフェでDVD鑑賞。悪魔のいけにえ13日の金曜日、悪霊のはらわた。大御所スプラッター スリラーホラーを鑑賞。人をいたぶって殺す系なので参考になるのかな?

 

 

 

 

クラブasian のバーカウンターの店員。

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シマウマ2巻112ページより


モヒカンにメガネのぱっと見イカツそうなクラブの店員さん。ドラが気を許している数少ないモブ登場人物の一人だなと思います。口調がオネェです。

 
クラブにいたゴロツキを見て回収方法を思いつき彼らを配下に。
平成産まれのドラに「昭和の中坊」って煽られるの愉快だなって思います。

 

 

 

初めての回収は大成功。キイヌは夜の僕へ。
アカはご満悦で我が事のように喜びドラもその反応には満更じゃない。
褒められると素直な反応するカワイイ所あるんだなっと思いました。

 

絶好調の駆け出しと思いきや「写真は受け取らなかった」という小さな嘘をシマウマに見透かされて苛立ちます。
ドラは何故そんな意味のない嘘をついてみたのか?シマウマを試しているのか出し抜きたいのかな。認めさせたい気持ちもあるのかな。
ドラは主導権を握りたいたいタイプで人に使われるのは向かなくて、上に立ちたい気持ちなんだろうか?シマウマとドラはなんだが合わない様子です。似たもの同士な所があるので同族嫌悪なのか?とも考えられる。
一方アカとは、回収屋においては先輩に当たると思うのですが張り合わないしライバル心は抱いてないようです。
その事は少し不思議に思ったんですけど、アカは自分を評価してくれた相手だからいいのかな。アカに対しては “認めさせたい” というより“ガッカリされたくない” 気持ちが働いてるように思います。ライバル心は抱いていないけれどシマウマとは別方向に意識しています。

 

 

 

 


婚約者を奪った腹いせの回収。
回収屋は!!!ただの!!!悪!!!!!!!!

 

ダークヒーローや復讐代行による正義では全くないモノを回収屋は肯定します。
弱者の味方の正義、そういうモノを期待して読んでいたとしたらここでふるい落されたでしょう。さよならバイバイ。

 

金さえ払ってくれたら依頼主の代わりにターゲットに手を下す。高尚なモンは無い。恨みに金を払う奴がいるからそれに応えるだけ。正しさは存在しない。ただ、ただ加害者でしかない。

 

私は復讐代行モノや悪を打つ悪のダークヒーローものを見ているときに、お前が善悪をジャッジするのか!?!?正しこと、正義を執行したかったら最初っから正しい行いをしろ!!!!という気持ちになったりするので、正義なんか無い感じとても良い〜。より一層クズを極めてほしい。
潔癖拗らしてスカトロに目覚めるような繊細さと極端さがこの漫画にあるなと思いました。

 

 

 

 


ジョディ登場。
また強烈なキャラクター登場です。
ドラとなんだか親しげに登場した海外ルーツのビッグマグナムを持つゲイの女装家……とびきり濃いキャラ、ジョディ。見てるとだんだん可愛く見えてくる。いや、可愛いよ!!!!ジョディは可愛い。
ここから始まるジョディによる男性のアナル破壊回収の数々は最早シマウマの名物。いいぞもっとやれ!!モブおじさんがレイプされる要員とはな。世界中のモブおじさんもシマウマの世界にだけは来たくないだろうと思うはちゃめちゃっぷりが最高です。
その記念すべき第一回目 です。めでたいね!!!

 

 

ドラの被っている”まごころ便” のキャップが空気ぶち壊してて面白いですね。絶対気になっちゃうじゃん。
こういうなんか空気の緩い所、抜け感がシリアスになり過ぎなくて良いバランス。

 

 

 

 

アカといいクラブの店員といいジョディといい……回収屋以前からのドラの知り合いオネェしか出てこないね!?!? (ジョディは回収屋入ってからの知り合いという設定だけど、だとしたら最初っからすっげ親しげ)

男の子同士だと張り合って上下関係でしか関係を作りにくく 女の子だと気を使ってしまうので張り合わないタイプの男性が居心地いいのかもしれないな?っと思います。そして、気付きにくいですけどドラは様々なセクシャリティの方々にフラットに対等に接しています。気にして無いが一番嬉しいですよね。少なくとも表面上 人の気持ちを茶化したりしないですし。ドラの数少なーい良い所だと思います。そういう所があちこちフラグ立てちゃう所です。

 

 

 

 


ドラに迷い。
シマウマにフルボッコにされ心も体もボロボロ。
ドラの左目の充血が治らないのはこの時の後遺症。
ドラは回収屋の仕事に対して善悪ではなくとも “正当な理由” があると思っていたんじゃないかな。そんなモノは無い。ただ金持ってくるクズを肯定して代わりに手を下すだけ。
「回収屋はそいつらのタレな流すクソ喰って生きる害虫なんだよ」ってシマウマが言ってるのはそういう事。
これは上から目線での発言ではなく下から目線だなって思います。下からお前も同じだ!って言ってるだけです。
それを受け入れられずに苦しいんだろうな。自分は駄目な奴じゃないと思いたい。
のし上がりたかったんだろう。人から認められて何かをなし得たかった。成功者になりたかった。しかしそんなもんは無い。大義も地位も名誉もなにも無い。現実を突きつけられてしまったんだね。


裏社会でのしあがれ!的な煽りが付いていましたけど2巻の時点で、んなもんねーよと言わんばかりのオチついていると感じます。
ドラの成長の物語。でも決して成功者や幸せになる話ではなく駄目な自分を受け入れて肯定するような駄目人間肯定のお話だと感じます。

 

 

 


それからそれから
キャバ嬢の回収。ドラとアカのコンビでお仕事。
シマウマにボコられイラついてるドラは仕事に当たっている。キャバ嬢乱暴にレイプしようとしたらやり過ぎとアカに止められ、憂さ晴らしにキイヌとセックスしようとしたら振られてクラブアジアンで飲んだくれてたら一度は配下にしていたゴロツキにカツアゲされもーーー本気でボロボロ。
駆け出し好調にに見えた回収屋のお仕事早くも陰りが見え始め。迷いもあるし辞めたくなってくる。

こんなにみっともない主人公もそうないってくらい容赦ない。だれも憧れられないがすぎる!!!調子こいて痛い目にあって凹む。カッコ悪すぎる!!!突き上げてから突き落とす揺さ振りがドラに対しても容赦なさすぎ!!!そこがたまらなく楽しいんですけど。

 

 

 

クソ虫と呼ばれ無様な自分に自嘲してしまう。

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シマウマ3巻29ページより


ドラは1巻でも追い詰められてた状況で笑ってしまっていましたね。特徴的な癖です。どこか悲しくどこか安堵しいているような笑いにも思えます。

 

 

 

 

 

 


アカの気持ち。

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シマウマ3巻14ページより

ドラがターゲットを凌辱しようとした事をアカが止めてる表現。
これはアカ側の気持ちも描かれてると感じました。
アカは最もらしいこと言ってドラを止めてますけど、ただソレを見たくなかっただけなんじゃ無いかな?
アカならドラが残虐であればあるほど喜びそうだし、覗き見好きだし、スケベ見れて喜びそうなのに、あえてそれを止めたのは自分が嫌だったからじゃないのかな?
後にアカからドラへ恋愛感情有りきの好意が伝えられます。現状でアカがドラに恋心を抱いているかと言えばそういうわけでは無いと思うけど、昔好きだった男のコ。例え仕事だろう、辱めるための行為だろうと、目の前でされるのは見るに耐えない。苦々しい気持ちになる。そう思う程度には気持ちがあるのだろうと読めます。
ドラが他で誰を抱こうが知ったこっちゃ無いだろうけれど流石に自分がどんなに願っても叶わぬ事を見ず知らずの人間に目の前でされるのは無理。
ドラの失態に見えてアカの内なる気持ちが描かれていたように感じます。

 

 

 

 


ドラをかわすキイヌ。
ダメダメ言ってるけど本当はそれを「うるせー」ってねじ伏せて抱かれたかったマゾヒストのキイヌ。そうしてくれないならお呼びじゃないわ、ガッカリよ!という態度。性癖がやや面倒くさいですが強い女性です。上手く僕にしたと思ったのに全然!!上手く使われてたのはドラの方。
二人の関係は最初はドラからのレイプという酷さだったので主導権がキイヌにあるという状態とても好きです。ドラが凹まされてせいせいするし、弱い女を虐げた訳じゃないんだなとも思えて良いなと思います。だからと言ってドラがキイヌをレイプした事は許されないけどな!!!

 

 

 

 

回収屋のお仕事が分かってきた所ですが、この物語は復讐代行という職業の世界に重きを置いているわけではなく、回収屋は舞台設定でありそこに生きるクズたちの人間ドラマを主に描いているのだと思います。
曖昧な表現が多く気持ちを言語化することが少ないのでキャラクターの心理は読みにくいですけど描かれていなからこそ、それぞれのキャラクターの視点で掘り下げて考えてみると細やかなやり取りがされていて面白いなと感じます。まだまだ心情を読み切れていない部分があるのでもっと深く考えたいなって思っています。

 

 

現在単行本21巻まで出ていますがど結末が近いようです。
ヤンキン本誌がハラハラだよ。
15巻あたりの関係性考察が書きたくて始めたブログなのに本編完結するまでにそこにたどり着かなそうです。時間がかかっても自分なりの言葉で書ききりたいです。

 

2019.10.30

 

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シマウマ(3) (ヤングキングコミックス)

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